ETech07 - ざっくり全体概要とTim O'Reilly氏基調講演のメモ
March 28, 2007 6:43 PM by toshi_i
研究員の石橋利真です。こんにちは。
昨年に引き続き O'Reilly Emerging Technology Conference 2007 に来ています (昨年のレポートはこちら)。 今年のテーマは
magic and the sufficiently advanced technology behind it.
という事で、昨年の "Attention Economy" - 主にこれからのWeb進化ついて語る - とは違った趣になっています。
魔法としか思えないような現象は、必ず、裏にある高等技術によって実現できている。そしてその高等技術の習得には、多大な努力がある。
初日のKeyNoteや、特に暗算の天才 Arthur Benjamin 氏によるネタバレショー (?) を聞いた後は、そんな風に感じています。
と言っても、行われるセッション(講演)の内容は幅広くて、気になるものを挙げると:
- coder to co-founder
- 一介のエンジニアが企業家へ転進する為の必要知識について。WEBベンチャー業界の基礎知識講座。
- Why Can't a Computer Be More Like a Brain?
- neocortex (大脳新皮質) による視覚認識ロジックの研究と、PCによる実装実験について。人間の認識はアルゴリズムだけでは無く、「経験の蓄積」に寄る所が大きい、というお話。
- Collective Intelligence, Indeterminacy, and the Illusion of Control
- 新しい発明や習慣を前にしたとき、人はどんな判断基準でそれを理解/受け入れようとするのか?これから普及するであろう「集合知を駆使したサービス」のインターフェースは、どんなだったら皆に受け入れられるだろうか?についての知見紹介。
- The myths of Innovation
- エジソンの電球発明や3M社の成功の裏にある、現場の実情・大切にすべき心・成功に必要な要素、などについての考察。
- The Core of Fun
- UltimaOnline や StarwarsGalaxy 等のMMORPG開発者が語る、ユーザが「使っていて楽しい」と思えるサービスのポイントについて。
- Successful Open Communities on the Internet
- 自由参加型の集合知コミュニティサービス - Wikia - の中の人が語る、 オープンなコミュニティサイトの成功の秘訣について。
- Big Company Hacks at Yahoo!
- Yahoo!が数々のWebサービスやUI Library等の公開に行き着くまでの内情、大切にすべき心などの紹介。
と、内容は多岐に渡っています。個人的には、去年に比べると若干ワクワク感が薄い感じがしていますが、実際聞いてみると、新たな発見や刺激を受けるセッションも多く、何よりカンファレンス全体に渡って
- オープンで行こうよ
- 共有・シェアの精神で行こうよ
- 「楽しさ」の中から新しいものが生まれる - ビジネスはその後で考えようよ
そんな、僕も共感できるナイスな精神に満ちている事が嬉しいです。明日から僕もがんばろう、と思える。エネルギーを分けて貰っている感じです。
Tim O'Reilly氏の基調講演メモ
ざっくりですが、初日夜にあった主催者本人による30分の opening key note のメモ。割と脈絡無く話が進んでいるように聞こえたのですが (maybe of my poor dictation ;P)、どれも、視点としては考えさせられるものばかりかな、と。
現実世界の製品において、多様化が進んでいる
- 中国の凧(sports kite)の受注生産会社が、オンラインで、特注仕様について細かくコミュニケーションできるサービスが出てきている。
- $100ノートPC用の電源ユニットの生産工程のサイクルがものすごく短くなってきている。製品モックアップが1週間単位で上がってくる。
- Tシャツも、買い手側の人気投票により生産有無が決まる - www.threadless.com
- 現実世界でのオブジェクト指向な製品が出てきている - Chumby - ユーザが自由にカスタマイズできる時計ガジェット。ネットサービスを組み込んでもよし、友達とのメッセージ交換機能を組み込んでもよし。
他人の行動が気になってきている
- twitter.com - 自分が今何に取り組んでいるのか、何をやっているのかを周りに周知してもらうサービス。何?と思いつつも、google pagerank 8 もあるからには、何かユーザに刺さるものがある模様。
- jaiku - 自分の居場所・スケジュール等を携帯電話で共有。
juku? jyuku? 聞き取れなかったす。URLわからじ。匿名さんコメント感謝
AdSense の市場化
Google AdSense のような広告サービスは今後、株式市場のように、高度な取引市場になっていくのでは?という考察。初日の O'Reilly Radar Executive Briefing で議題に上がったテーマだそうな。
Web2.0 はただの流行として、もう終わるのか?
- need not just another social network site - ユーザー参加型のサイトがこれ以上増えていくだけでは駄目で、本質を捉えた昇華が必要。
- 集合知のように、ネットワーク効果で参加者が増えれば増えるほど、サービスそのものの価値が上がっていく - この根本価値は流行として消えうせるものでは決して無い。
- 新たなアプローチのサービス例: google translation - 集合知を駆使して、翻訳精度を高める
- freebase - wikipediaの別アプローチ版?使ってみないと判らんす
- Wesabe - 個人の家計簿管理・財務管理 + Web2.0。ノウハウ共有、他人からのアドバイス。 Web2.0が新たなジャンルに拡散していっている一例。
hackers as business innovators
スキーが大好きな連中が、板を束ねて滑る新しい遊び = snowboarding を発案して、後にビジネスになっていった話をたとえとして。そういったマニアやhackersたちが、純粋に「楽しむ」行為こそが、新たなビジネスを作っていけるんだよ、というO'Reillyの根幹的なメッセージ。
皆が知っている・使っているサイト
発表者の人達が、何げない文脈の中で引用している、注目サイト達。普段、英語圏側の情報にもアンテナ張っている方々にとってはどれも周知のサイトなのでしょうけど、僕にとっては新鮮で、気になるサイトばかり。メモメモ&後で詳しく調べてみよう。
- slideshare
- パワーポイント等のスライド資料をFlashに変換&WEBで共有
- virb゜
- 音楽と映像を軸にしたSNS
- ma.gnolia
- 感謝フィードバックの仕組み付きのソーシャルブックマーク
- 43 things
- 僕・私がやりたい事/実現させたい願望リストを皆で共有
- 今自分が何をやっているのかを皆で共有
- plazes
- 無線LANを使って位置情報を取得 + 場所の情報を共有する
- stikkit
- シンプルで便利なタスク管理・アドレス帳管理・スケジュラー。ETech主催リーダーのRael Dornfestさん達が作ったサービス。今年の SXSW interactive 最優秀賞受賞。
- zimbra
- いろいろ便利なメーラー&スケジュラー。オフラインでも使えるようになったとか。
- wikia
- 映画・スポーツ・ゲーム・健康・市民団体など、多岐にわたるジャンルについての、オープンコミュニティーサイト
おまけ: カンファレンス風景
大人も子供も自分の画面に夢中www
tags:ETech2007
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twitterと並んで出ているのは jaiku http://www.jaiku.com/ ではないでしょうかー。
March 29, 2007 6:04 PM by 匿名> jaiku
March 30, 2007 12:08 AM by 匿名それですね!感謝します。
どうもです。
March 30, 2007 8:23 AM by 匿名うまくまとめてますね!
参考にさせてもらいますw
お疲れ様でした。コンパクトに要点がまとまっていて、記憶の補完に役に立ちました!ありがとうございます♪
April 5, 2007 5:21 PM by mori