ETech07 - オープンなコミュニティサイト成功の秘訣 / Successful Open Communities on the Internet
March 30, 2007 9:04 PM by toshi_i
研究員の石橋利真です。こんにちは。
ありとあらゆるカテゴリ・ジャンルに対して、みんなの知恵・知識を持ち寄せあおう... という趣旨のユーザー参加型コミュニティサイト - Wikia - の中の人による講演のまとめです。
講演者
Gil Penchina
Wikia社のCEO。その前、1999-2006年6月まではeBayに在籍。営業部 部長(vp of business dept.) として、MS/AOL/Disney/Yahoo とのアライアンス契約などで業績を上げた人。どかっと構えて、ゆったりしゃべる、落ち着いた感じのおっちゃん。
講演テーマ
Wikia.comを運営していく中で得た、コミュニティサイト / 集合知系サイト運営 成功の秘訣・知っておくべき知恵を、どーんと皆に共有します
Wikiaは現在48ヶ国語で1500以上のコミュニティが存在しているとのこと。Wikiaについての詳しい情報はこちら (英語)。
Open "Content"
- 誰でも再利用できて、編集もできる
- Copy Leftの思想 - Creative Coomons, GNU GPL
- そうする事で、ビジネスとは関係なく、すばらしいコミュニティを形成する事ができる
- transparency (事象の透明性) が大切
- 情報提供者は皆ボランティア
- 思想の共通認識が前提で成り立つモデル - consensus driven model
- 個々の貢献が、全体の価値を高める、皆の為になる
大切な心構え
積極的にサイトの御作法を広めよう
- コミュニティの御作法、空気感が重要
- ルールによる厳しい縛りつけと、完全なんでも自由... その間の絶妙なバランスを探る
- カスタマーサービスは高い情熱を持って行おう
- 各コミュニティごとのルールや空気感を作り上げる、コミュニティマネージャーを設置すべし
- 決して、上からものを言う態度をとらないこと
なにごとにも透明性を持たせよう
- 誰でも自由に編集できるコンテンツ
- すべての編集・変更内容が履歴として見れること
- ユーザ同士のコメント・議論も同様
- すべては信頼関係の構築のため
ユーザを常に信じよう
- 大多数の人々は、基本的に良い心を持っている
- 例えばレストランにしたって、客は全員ナイフを手にする → 危険だ!檻で囲むべし... なんて誰も考えないべ?
- 悪い態度を規制する為のルールは、大抵、良い行動の抑制にもなってしまう
- 信じることで、多くの奇跡が起きるよ
最悪の結果を招く要素
報酬としてお金を払うようなこと
- 方向性の間違った競争が発生してしまう
- 結果、ショボいコンテンツが乱立するようになる
- なんらかの弁償・補償の仕組みもNG
大量のスパム・落書き投稿
- 図書館のような知の集合体を狙ったのに、MySpaceみたいな状態になってしまう
- 既に良質なコミュニティが形成されている場合は、大抵彼らが駆除してくれる。特にサイト立ち上げ時が一番苦労する。
どうやって予防するの?
- 運営側の愛と情熱が一番大切
- 24/7なユーザサポート体制
ビジネス的な側面
- 集客力を利用してのPR広告収入モデル
- コンテンツ制作費はゼロ
- マーケティングにかけた費用もゼロ (正確には3年間で$8ドルくらい、とかなんとか)
wikiアプローチ以外の成功事例
armchairgm
- スポーツ好きの為のソーシャルサイト
- ユーザが自由に記事を投稿 → 皆が投票したりコメントしたり
- 2006/12にwikiaが運営会社ごと買収 ($200M)
- 現在、スポーツ以外のジャンル (映画、TV等) への横展開を準備中
まとめ
成功の為には、運営者の愛と情熱が不可欠。
運営体制やお金ではどうにも出来ない要素が多分にある。
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